葉酸サプリメントなるものがあることを知りました。「葉酸なんてサプリで取るんですか?」と思いましたが・・・。まあ、一応、世間でどう言っているのか調べてみました。
世間で言われている効用
1)貧血の防止
2)口内炎の予防
3)免疫力を高める
4)動脈硬化に効く
5)妊娠しやすくなる
6)アンチエイジングの効果がある
7)肌の調子がよくなる
8)髪の毛につやが出る
9)痛風に効く
10)肩こりに効く
11)鬱に効く
では、順番に見ていきましょう。
貧血の防止
葉酸が欠乏すると、貧血になることがわかっていますが、葉酸を摂取すると、貧血が防止できるというのは、議論をすり替えているようなものです。なぜなら葉酸は特に摂取しなくても、腸内細菌により合成されるため、不足することがありえないからです。つまり、葉酸が不足するという事態は、特殊な事態であるので、葉酸の摂取が貧血の防止になると言うのは、そういう特殊な事態だけに当てはまります。
葉酸の欠乏により発生する貧血は、「巨赤芽球性貧血」と言われるもので、よくある鉄不足で起きる通常の貧血ではありません。当たり前ですが、葉酸摂取により鉄不足の貧血を防止するなんてことはあり得ません。
葉酸欠乏症
葉酸が欠乏する場合というのは、低栄養状態の場合と、アルコール依存症の場合などにあり得る事態です。普通に食事を取っていれば、様々な食品中に葉酸が豊富に含まれる上、腸内細菌が合成するので、不足する事態にはなりにくいです。
アルコール依存症で葉酸欠乏症が発生しやすいのは、一つには、アルコールが葉酸の吸収を妨げるからです。また、アルコール依存症の人は、まともな食事を取らないため、低栄養に陥りやすく、結果として、葉酸の摂取量が減ります。普通に食事を取っていて、アルコール類も飲まないのなら、普通、葉酸欠乏症は起きないと言っていいと思います。その他、薬物など様々な要因で吸収障害が起きれば、葉酸欠乏症が起きる可能性があります。
それにしても、摂取不足、吸収障害などといった事態で、葉酸欠乏症が発生する場合、他の栄養素の欠乏による病的な状況も発生するのが、普通だと考えられます。言い換えると、葉酸だけ狙い撃ちしたような欠乏症は、考えにくいです。
免疫力を高める
葉酸が免疫力を高めるなどという証拠はどこにもありませんが・・・(笑)。どういう仕組みで免疫力を高めるの伺いたいものですね。
免疫は、細胞性免疫と液性免疫があり、前者は細胞によるもの、後者はタンパク質によるものです。葉酸が細胞やタンパク質の生産に関与していて、大量に葉酸を取ると、大量に細胞やタンパク質を生産されるというならわかりますが、そういう話はないと思います。
この件は確かな根拠がないと言えます。
動脈硬化に効く
血清ホモシステインの増加を抑えることで動脈硬化の危険を減らすというものです。しかし、これも基本的に証拠不足ですね。動脈硬化との関連性が認められないとする研究がたくさんあります。関連性を見つけた研究も、認知症やアルツハイマーの患者を対象にした研究であり、一般人ではありません。
まあ、動脈硬化に効くことは期待できないと思います。ただ、高ホモシステイン血症には有効だという研究はかなりありますので、高ホモシステイン血症には有効でしょう。
妊娠しやすくなる
厚生労働省が妊娠を希望する女性に葉酸の摂取を勧めているから、「妊娠しやすくなる」に違いないと思うのでしょうが、それは関係がありません。これは妊娠した場合に、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減に有効だと考えられるので、摂取を勧めているのであり、妊娠しやすくなるから勧めているのではありません。
アンチエイジングの効果がある
どこにそんな効果があるのか聞きたいところですが、動脈硬化を防ぐという点でそう言っているのかもしれません。しかし、上に書いたように、そういう証拠はないので、期待しても無理ですね。
肌の調子がよくなる
全く根拠がないですね。ついでながら、おなかの調子もよくなりません。
髪の毛につやが出る
これも根拠がありません。
痛風に効く
これも根拠がありません。
肩こりに効く
ほとんど笑えますが、これも根拠がありません。
鬱に効く
抑鬱傾向が強まったという研究もあり、はっきりしません。よって、これも期待できません。
結論
妊娠する予定の女性が飲むのは有意義かもしれませんが、それ以外の場合は、意味がないと思います。